日本アーシング協会アーシングの研究と実践を伝える

腰椎手術後のアーシング|84人の比較試験で報告された痛みとCRPの変化

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腰椎手術後のアーシング|84人の比較試験で報告された痛みとCRPの変化をテーマにしたAI生成のイメージ写真

腰の手術を受けたあとの一晩、体を大地とつながる状態にしておくと、翌朝の痛みや血液の値に何か違いは出るのでしょうか。

この問いを、見た目がまったく同じ「偽の接地」と比べる形で調べた研究が、学術誌『Journal of Clinical Medicine』に掲載されました。腰椎の手術を受けた84人を2つの群に無作為に分けた研究です。

その結果、接地した群では、炎症の程度を示す血液の値(CRP)の上がり幅が偽の接地の群より小さく、痛みの点数の下がり幅は大きいという差が見られました。一方で、筋肉の損傷の目安とされる値(CK)には、群の間で統計的な差は見られませんでした。手術後の一晩だけ、翌朝1回の測定という条件の研究ですが、人を対象に偽の接地を対照に置いて比べた点で、アーシング研究の中でも注目したい1本です。

腰椎手術を受けた84人を、接地する群と偽の接地をする群に分けた

研究の対象は、腰椎症(腰の骨の変形などによる病気)で除圧手術を受けた84人です。ポーランドの大学病院の脳神経外科で行われました。

  • 接地群(42人・うち女性18人・平均53±14歳):足首に貼る電極パッドを、コンセントの接地(アース)の系統につなぎました。
  • 対照群(42人・うち女性25人・平均60±11歳):同じ電極パッドを貼りますが、接地の系統にはつながっていない「偽の接地(シャム)」です。論文では、本物と偽物の装置は外見が同じだったと説明されています。

接地したのは、術後1日目と2日目の間の夜、ベッドで休んでいる時間です。接地ができていることは、電位計(体の電位を測る機器)で電位が下がることで確かめたと書かれています。

群の振り分けには、コイン投げによる無作為化と、両群の人数を同じにするためのブロック無作為化が使われました。痛み止めは、全員に同じ方法でパラセタモール(一般的な解熱鎮痛薬)が使われています。手術は大半が腰椎の1か所で、接地群は42人中38人、対照群は42人中36人でした。

何を測ったか:痛みの点数と、血液の値

測定は術後1日目の朝と、接地(または偽の接地)をした夜が明けた2日目の朝の2回です。この2回の差を、群の間で比べています。

  • 痛み:VAS(0〜10の線の上で、本人が痛みの強さを示す方法)。84人全員。
  • CRP(体に炎症があると上がる血液中のたんぱく質)とCK(筋肉が傷つくと血液中に増える酵素):84人全員。
  • ALP(骨や肝臓に多い酵素)、カルシウム、リン、鉄、フェリチン(体内の鉄の貯蔵量の目安)、トランスフェリン(血液中で鉄を運ぶたんぱく質)、ナトリウム、カリウム、尿素、血糖:84人のうち56人(各群28人)。

群の差は Mann–Whitney U 検定で調べ、p値(偶然でもこのくらいの差が出る確率の目安)が0.05未満を「統計的に差がある」としています。

結果:CRPの上がり幅と痛みの下がり幅に差、CKには差なし

炎症の値CRPは両群とも上がったが、上がり幅は接地群で小さかった

手術のあとは、両群ともCRPが上がりました。平均値で見ると、論文本文には接地群15.34→24.42 mg/L、偽の接地群24.54→57.42 mg/Lと記載されています。ただし表2の変化量は、この前後の平均値の単純な差と完全には一致しません。上がり幅の群間比較はp=0.000033で、この研究で最も差がはっきりした項目でした。

ただし、術後1日目の時点で、CRPは偽の接地群の方がやや高めでした(群の差 p=0.060)。術後1日目の値が群の間で異なっていた点は、結果を読むときに押さえておきたい点です。

痛みは両群とも下がり、下がり幅は接地群が大きかった

論文本文のVAS平均は、接地群7.14→4.64、偽の接地群6.6→5.26です。一方、表2では下がった幅がそれぞれ2.50、1.5952と記載され、偽接地群の前後の平均値から計算する差とは一致しません。表3の変化量の群間比較はp=0.0105です。数値の不整合があるため、効果の大きさを一つの確定値として扱わず、原著の報告として紹介します。偽の接地でも痛みは下がっており、その上で差が出たという結果です。

筋肉の損傷の目安CKは、群の間で差がなかった

CKは両群とも下がりました(接地群 311.97→257.36 U/L、偽の接地群 373.45→332.95 U/L)。下がった幅の群間比較はp=0.534で、統計的な差はありません。論文の要旨には、CKの低下が接地群で有意に大きかったと読める記述がありますが、結果の本文と表では「有意でない」とされています。当協会では、本文と表の数値に合わせて「差は見られなかった」として扱います。

そのほかの血液の値(56人で測定)

  • 差があった:ALP(p=0.024)、リン(接地群でわずかに上昇・偽の接地群で低下、p=0.021)、フェリチン(p=0.049)
  • 差がなかった:カルシウム(p=0.248)、鉄(p=0.123)、トランスフェリン(p=0.363)、ナトリウム、カリウム、尿素、血糖

著者はどう位置づけているか

著者らは、痛みの点数とCRPの上がり幅の差をもとに、接地を手術後の補助的な介入になりうるものとして位置づけています。カルシウム・リンや鉄の代謝に関わる値の変化にも触れ、より広い生理的な働きに関係している可能性を述べています。

同時に、接地を主たる治療ではなく補完的な介入として扱ったこと、アーシングの臨床応用は質の高い研究が少なく議論のある分野であることも、論文の中で明記されています。

日本アーシング協会がこの研究を取り上げる理由

この研究は、人を対象に、見た目が同じ偽の接地を対照に置き、無作為に群を分けたという設計で、痛みと血液の値を同時に測っています。こうした設計は、アーシング研究の中では数少ないものです。当協会は、アーシングの可能性を考えるうえで、こうした設計の研究がどの指標で差を示し、どの指標で示さなかったかを、そのまま並べて伝えることに意味があると考えています。

差が出た項目(CRP・痛み・ALP・リン・フェリチン)と、出なかった項目(CK・鉄・トランスフェリンなど)の両方を見ることで、「接地で何が変わりうるのか」という問いを、より具体的な指標の問いに置き換えることができます。どの指標で結果が再び確かめられるかは、今後の検証課題になりうる点です。

アーシングの研究紹介を読むときには、次の点を確かめると、結果の強さを自分で判断しやすくなります。

  • 要旨の「有意」が、結果の表の群間のp値でも同じか
  • 対照が「何もしない」なのか「偽の接地」なのか
  • 誰が、どの群かを知らされていなかったか(盲検の範囲)
  • 群の年齢・性別などの構成に違いがないか

この研究で言えること・まだ言えないこと

この研究で言えるのは、腰椎の除圧手術を受けた84人で、術後の一晩の接地と偽の接地を比べたとき、翌朝のCRPの上がり幅と痛みの点数の下がり幅に群の差が見られた、というところまでです。手術後の経過全体や、一般の痛み・炎症への効果まで確認した研究ではありません。協会は、補完的な実践を検討するための人での研究として、この結果と報告上の課題の両方を伝えていきます。

  • 規模と時点:84人の研究で、測定は接地の翌朝の1回だけです。その後の経過は追っていません。CRP・CK以外の血液の値は56人での結果です。
  • 手術の種類:開窓術・椎弓切除術・椎間板切除術など、種類の違う手術が混ざっています(著者は、多くの例で手術の負担の程度は同程度だったとしています)。
  • 群の構成:平均年齢(53歳と60歳)、女性の人数(18人と25人)、術後1日目のCRPが群の間で異なっていました。
  • 盲検の範囲:方法の節には、患者・評価者・解析者のうち誰が群を知らされていなかったかの記載がありません。
  • 統計:13項目の差を検定していますが、複数の項目を比べることへの補正の記載はありません。試験登録番号の記載も見当たりません。
  • 変化の大きさ:著者自身も、血液の値の変化は小さく、はっきり区別しにくいものだったとしています。

著者は、より大きく均質な集団で、観察期間を延ばし、より多くのデータを集める研究が必要だとしています。手術を控えている方や術後の方は、この研究を治療や痛み止めの代わりとして受け取らず、治療については主治医の判断を優先してください。

出典

論文には、外部からの資金提供はなく、利益相反もないと記載されています。倫理委員会の承認と、参加者の書面による同意を得て行われた研究です。

※本記事は研究の内容を紹介するもので、特定の効果・効能を保証するものではありません。

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編集・発信:jpeaa