日本アーシング協会アーシングの研究と実践を伝える

接地でミトコンドリアのATP産生は変わる?マウス由来試料の基礎研究

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接地でミトコンドリアのATP産生は変わる?マウス由来試料の基礎研究のテーマを短いラベルで説明するAI生成イラスト

アーシング(大地への接地)をしたとき、体の中のどこで、何が変わるのでしょうか。

この問いに、細胞の中の小さな器官の段階から近づこうとした研究が、学術誌『FEBS Open Bio』に掲載されました。マウスの肝臓から取り出したミトコンドリア(細胞の中でエネルギーをつくる小さな器官)を試験管に入れ、「水道の蛇口に配線でつないだかどうか」という条件だけを変えて、エネルギーのつくられ方と活性酸素の出方を比べています。

接地した条件では、ATP(細胞がエネルギーとして使う物質)が多くつくられ、過酸化水素(活性酸素の一種)が少なかったと報告されています。生きた動物や人での研究ではありませんが、「接地という物理的な条件で、ミトコンドリアの測定値に差が出るのか」を直接測った研究として、興味深い結果です。

取り出したミトコンドリアを「つないだ/つながない」で比べた実験

対象は、3か月齢の雄のマウス(C57BL/6系統)の肝臓から取り出し、遠心分離で精製したミトコンドリアです。細胞や生きた動物ではなく、体の外に取り出したミトコンドリアを、試験管の液の中で測った実験です。

15mLの試験管9本を用意し、3本ずつ次の3つの条件に分けました。

  • 接地:液に浸したステンレスの細い線を、銅線とケーブルで流しの蛇口へつなぐ。つながっていることはテスター(マルチメーター)で確認
  • 偽接地:ステンレス線とケーブルは同じように付けるが、蛇口にはつながない
  • 無処置:線もケーブルも付けない

線やケーブルを付けたこと自体の影響と、接地の影響を分けて見るために、偽接地の条件が置かれています。測定は22℃で行い、0分・15分・30分の時点で液を取り出して測りました。

測ったのは次の3つです。

  • ATPがつくられる速さ:色の変化で測る市販の試薬で測定
  • 過酸化水素が出る速さ:活性酸素の一種である過酸化水素を、蛍光(光る色素)で測定
  • 膜電位:ミトコンドリアの膜をはさんだ電気的な差。ローダミン123という蛍光色素で測定

著者らは、ミトコンドリアの測定で一般的に使われる金属の電極(プローブ)が、知らないうちに試料を接地してしまい、結果を混ぜてしまう可能性があると指摘しています。そのため、この研究では金属を液に入れずに済む蛍光の方法を使ったとしています。

接地した条件では、ATPが多く、過酸化水素と膜電位が低かった

ATPをつくっている状態(ADPという材料を加えた状態)で比べた結果は、次のとおりです。

  • ATP:接地 444、偽接地 420、無処置 396(いずれも nmol ATP/分・mgタンパク質)。著者は「接地で5〜11%多い」とまとめています
  • 過酸化水素:接地 0.08、偽接地 0.103、無処置 0.12(nmol/分・mgタンパク質)。著者は「接地で22〜33%少ない」とまとめています
  • 膜電位:接地 −165mV、偽接地 −175mV、無処置 −174mV。接地では電位差の絶対値が小さく、著者は「接地で5〜6%低い」と表現しています

ATPをつくっていない状態(ADPを加えない状態)などで過酸化水素の時間変化を比べた解析でも、接地の条件は偽接地・無処置より低かったと報告されています。

数字は何と何を比べた値か

パーセントは「接地」と「偽接地」「無処置」それぞれとの差です。統計的にどこまではっきりしているかは、項目と比べる相手によって違います。ここで使うP値は、「本当は差がなくても、偶然でこのくらいの差が出る確率の目安」で、一般に0.05未満を統計的に意味のある差とみなします。

  • ATP:接地と偽接地の差は P=0.002、接地と無処置の差は P<0.0001。どちらとの比較でも統計的に意味のある差でした
  • 過酸化水素:接地と無処置の差は P=0.009 で統計的に意味のある差でした。一方、接地と偽接地の差は P=0.079 で、0.05を下回っていません。偽接地と無処置の間には差は見られませんでした(P=0.213)
  • 膜電位:著者は接地で「有意に低い」と書いていますが、P値は示されていません

過酸化水素の「22〜33%少ない」のうち、無処置と比べた差ははっきりしていますが、偽接地と比べた差は統計的にははっきりしなかった、という読み方になります。

著者はこの結果をどう解釈しているか

著者らは、接地によって膜電位がわずかに下がり、それが過酸化水素の減少とATPの増加につながったと考えています。膜電位の低下は5〜6%と小さいものの、膜電位がわずかに下がるだけで過酸化水素の発生が大きく減ることを示した他の研究もある、というのが著者の説明です。

そのうえで著者らは要旨と結論で、接地が酸化ストレスを減らすことでミトコンドリアのエネルギー代謝に良い方向に働くと解釈し、応用の可能性や、長期の影響を今後調べる必要があることにも触れています。これは著者の解釈であり、試験管の中のミトコンドリアで測った結果から、そのまま人の体に当てはめられる内容ではありません。

また著者らは、金属の電極を使う従来の測定法と、蛍光などの別の方法を比べることで、接地が測定に与える影響を確かめていく必要があるとも述べています。

アーシングを考えるうえで、この研究が持つ意味

「大地の電子が体内の活性酸素を中和する」という考え方は、アーシングの仮説として総説などで述べられてきました(Chevalierら、2012年)。この論文の著者らも、接地と酸化ストレスに関する主張はこれまで直接の実験データが乏しく、推測の段階にとどまっていたと述べ、その空白を埋める実験データを示すことを目的に挙げています。

日本アーシング協会では、この研究を「接地という物理的な条件だけを変えて、ミトコンドリアの段階で測定値を比べた研究」として位置づけています。人の体で活性酸素が減ることを示した研究ではありませんが、仕組みの段階で何が測れるのかを示した点に新しさがあります。

当協会では以前、頭蓋に付けた電極で接地したラットの学習・記憶の研究を紹介しました。あちらは生きたラットで行動や脳の指標を調べた研究で、今回は取り出したミトコンドリアで30分間の変化を測った研究です。対象も方法も測った指標も異なるため、2つの研究の結果を互いの裏づけとしては扱いません。

また、「測る道具そのものが接地の条件を変えてしまうかもしれない」という著者の指摘は、条件をそろえて比べることの大切さを示すものでもあります。

この研究から言えること・まだ言えないこと

言えること:マウスの肝臓から取り出したミトコンドリアを試験管の中で接地した条件では、無処置と比べてATPが多く、過酸化水素が少なかったと報告されています。ATPは偽接地と比べても多いという結果でした。

まだ言えないこと・注意したい条件:

  • 対象は体の外に取り出したミトコンドリアです。細胞・生きた動物・人で同じことが起きるかは調べられていません
  • 接地の方法は、試験管の液に入れた金属線を蛇口へつなぐもので、人が皮膚で地面や器具に触れるアーシングとは条件が大きく異なります
  • 測定は30分間です。長期の影響は調べられていません
  • 規模は小さく、生物学的反復(別々に用意した試料での繰り返し)2回、技術的反復(同じ試料での測り直し)3回です
  • 過酸化水素の偽接地との差は P=0.079 で、統計的にははっきりしませんでした。膜電位はP値が示されていません
  • 著者貢献欄には、共著者のKotz氏が研究を提案・開始し、研究室を受託契約(サービス契約)として利用して実施したと記載されています。利益相反については「なし」と申告されています

検証課題になりうるのは、別の研究室で同じ条件を再現できるか、試料の数を増やしても同じ差が出るか、そして細胞や生きた動物で同じ指標が動くかといった点です。

接地という条件だけを変えて、ミトコンドリアのエネルギーと活性酸素の測定値に差が出たと報告されたことは、アーシングの仕組みを考えるうえで興味深い一歩です。今後の研究につながる基礎研究の一つといえます。

出典

  • Giulivi C, Kotz R. Earthing effects on mitochondrial function: ATP production and ROS generation. FEBS Open Bio. 2025;15(9):1459–1470. DOI: 10.1002/2211-5463.70062(PMID: 40512656/全文: PMC12401174)
  • Chevalier G, Sinatra ST, Oschman JL, Sokal K, Sokal P. Earthing: Health Implications of Reconnecting the Human Body to the Earth’s Surface Electrons. Journal of Environmental and Public Health. 2012;2012:291541. DOI: 10.1155/2012/291541

※本記事は研究条件を踏まえて、アーシングの仕組みと可能性を紹介するものです。取り出した試料での結果と、人が実践したときの健康への効果は分けて考えます。

室内で実践するときは、電気的な安全が確認された接地環境と、説明書に沿った方法を使ってください。電源の差込口や水道管へ自己判断で配線せず、不調があれば中止して状況を確認しましょう。体の対地電圧が下がることだけで、配線の安全や健康効果を保証することはできません。

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編集・発信:jpeaa